山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

自分が正しいと思ったことを信じぬくことが正しい

少しずつですが雑誌の記事の整理をしています。
きのう読んだのが、

「ショパン」掲載の2008年上原ひろみインタビュー。[rakuten:chopin-shop:10000255:detail]
インタビューは、真嶋雄大さん。ムジカノーヴァでは、いつも来日大物ピアニストの取材をしているクラシック評論界のそうそうたる書き手です。

オスカー・ピーターソンとの会話で、とても興味深い部分がありました。

8歳からオスカー・ピーターソンのレコードを聴いていて、アメリカ留学しているあいだに自宅に行く機会があったそうです。家の地下のスタジオで3曲弾いた、そのうちの1曲が「アイ・ガット・リズム」で、「ビヨンド・スタンダード」に入っているとか。

以下ショパン2008年7月号のインタビュー本文より

いつもピーターソンは、「このまま自分の信じた道を行きなさい。いろんなことを言う人がいるかもしれないけれど、お前は正しい。自分が正しいと思ったことを信じ抜くことが正しいんだ」と上原を常に元気づけたという。

このせりふは重いなーと感じました。いろんなことを言う人がいる。そうだろうなあ。オスカーも、いろんな意見をいろいろいわれ、自分の決断がこれでよかったのか逡巡したことがあったのでしょうね。

それでも、そうやって人の意見に流されては、積み重なっていかない。結局は、自分が正しいと信じたことを信じぬくことが正しいという結論になったのだろううなと。そうすれば、あるポイントに何か重なって重なって、オリジナルな何かができてくる。芸術家として勝負していける何かが自分のなかにできていく。

その言葉をひろみちゃんが大事にしているというのがまた、うなずける。

彼女もとにかく新しいチャレンジを続けていて、自分の理想とするピアニストになるべくアスリートのように努力を続けている。それを支えているのは自分が正しいと思うことを信じぬく強さなのでしょう。

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それと、ドビュッシーやラフマニノフについて、こう語っています。
「でもクラシックを弾くことで、ジャズに役立つことっていっぱいあるんです。たとえばドビュッシーのコード感、ラフマニノフの難解なメロディーの浮き立たせ方とか、必ず使えることだし、自分のボキャブラリーとして入ってくることだから、逆も絶対あると思います。」(インタビュー本文より)

これこれ!! ピアノだけで弾いているソロアルバムを聴きながら、なんだかドビュッシーとかラフマニノフっぽいなあと思っていたんですよ。いろんな音やメロディーパートが鍵盤のあっちこっちでうごめいているのに、メロディはしっかり聞こえるのが、ドビュッシーとかラフマニノフにすごく似てるって。やっぱりそのへんを意識してるんだろうなあ。どんな曲を練習して、それを何に応用しているのか、質問してみたいですね。

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