山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

内田光子と上原ひろみ、グラミー賞

朝、テレビをつけたら、いきなり内田光子と上原ひろみの映像が…。何事かと思えばふたりともグラミー賞をとったのですね。

上原ひろみは、スタンリー・クラークバンドでの受賞。

スタンリー・クラーク・バンド フィーチャリング 上原ひろみ

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2月14日にアメリカで授賞式があったときに、恵比寿のガーデンホール笑福亭鶴瓶さんと一緒にコンサートをしていたので、授賞式には出ていないのですね。


まあ、スタンリーバンド名義での受賞ですし、授賞式のときは別のライブで演奏していたというのが、ライブを何よりも大事にする彼女らしいです。もちろん光栄なことだけれど、スタンリーのバンドではなく、自分自身のソロアルバムでグラミー賞をとってほしい!!! というのは、私自身、彼女のアルバムの演奏のほうが好きだから。

「ビヨンド・スタンダード」でスタンダードをアレンジしてみせたときの、あの奇抜でユニークかつ音楽的なアイデア、大好き。そしてソロアルバムでかっ飛ばして弾きまくっているのも痛快豪快、そうやってノリノリで聴いていると実は音もすごくきれいでメロディも良かったりして大好き。

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もちろん、選考対象となるにはアメリカでの知名度が重要ですから、今回のことは良いステップになるでしょう。

そして内田さんは、彼女自身の弾き振りでの受賞!! 

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 第24番

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それこそずーっと前から、内田光子は日本ピアノ界にとっての誇りでした。

内田さんは外交官のお父様と一緒に12歳でウィーンに渡り、そこでピアノ教育を受けられたわけですが、それまでは桐朋の音楽教室で松岡貞子先生に師事していたし、ウィーンに松岡先生を招いて一緒に住んでもらって教えていた期間があると、松岡先生のインタビューで読んだことがあります。純国産とはいいませんが、日本のピアノ教育もかなり受けられた方なんです。

たまたま私がカリフォルニアにいたとき、通っていた鍼の先生が、内田さんの専属で、よくクリーブランドに往診に行ってらっしゃいました。そこから帰ってくると、いつも治療中に「内田さん、すごかったですよ!!!」と、興奮して話していらしたものです。ロンドン在住の内田さんには、西海岸は遠すぎるみたいで、アメリカでは東海岸までしか来てくれず、私は在米中に生で聴く機会がありませんでした。でも、日本では去年も11月にコンサートがあったようですし、今年もあるそうですね。グラミー賞のあとだから、チケットがとりにくくなっちゃっうんだろうなあ…。

私自身、内田さんのアルバム収集はまだコンプリートには程遠く、モーツァルトとシューベルトをそこそこ聴いた程度。彼女のピアノの魅力は、なぜかうまく書けなくて、ずっと自分の宿題になっています。

シューベルト:即興曲集

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モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番&23番

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内田さんに関しては、すでに世界的名声を獲得していらっしゃるし、いまさらグラミー賞だから何なのよ? という気もしますが、それでも一般の方々で、「中村紘子なら知っているけれど、内田光子を知らない人」は、いっぱいいるんですよね。
カリフォルニアは、やはり東海岸よりもクラシック面では田舎というか遅れている面があるのか、ピアノの先生をしている方と話したときに内田光子を知らない人が結構いてびっくり。

鍼の先生も「うちに来ている患者さんには、ピアノの先生もいらっしゃるんですけど、内田さんの名前を知っていた人は美芽さんだけなんですよ。美芽さんが日本に帰ったら、内田さんの話をできる人が誰もいなくなっちゃうわ」とおっしゃっていました。これは内田さんの素晴らしさがどうこうではなく、社会全体の中でのクラシック音楽の位置づけの問題になってきますが、そういう意味では、今回の件を機会に、少しでも一般の方々に内田さんの名前が広がるといいなと思います。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110220/ent11022008000004-n1.htm