先日ご紹介した「情熱のスーパーギタリスト列伝」、ビデオにとっておいたのをやっと見終えました。野呂さんにはもうだいぶ前になりますが、何度もインタビューさせていただきましたし、いろいろな雑誌に出たインタビュー原稿をスクラップしてありますので、いまさら新しいエピソードを聞くのは無理な話かな・・・と思いつつ見ていました。
確かに、エピソード的には知っていることばかりでしたが、ひとつ大きな収穫が。「ジョー・パス」に影響を受けてコピーした、という話は何度も読んでいましたが、番組のなかで、ジョーパスのコピーを実際に野呂さんが弾いてくれたのです。
これが、実はこの日の演奏の中で一番素敵というか、私としては、ずーんと心にヒットしました。何かなぞが解けたというか。
野呂さんのギターの魅力って、言葉でうまくこれまで言えなくて苦しんでいたのです。「あ、すごく情熱を秘めているんだけれど、クールな感じがする」というのを野呂さんが弾いたジョーパスのコピーから感じて、あーこれが野呂さんの魅力の核心の重要な部分じゃないか、と。何を弾いても情熱的でパワフルなものが伝わってくるのに、音としてはさわやかでクール。このバランスがどうしてか不思議。火の鳥を氷の彫刻で作ったような。
その部分が熱くてクールな部分がジョーパスにあるんじゃないかと何か思ってしまったんですね。果たしてあっているのかどうか、これからじっくり考えてみたいと思います。
番組の中で紹介されていたジョー・パスのCDが、1975年のモントルージャズフェスティバルでのライブ
- アーティスト: Joe Pass
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 1997/06/24
- メディア: CD
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そして野呂さんが、表紙だけ見て「これだ」とピンときて高校生のころに買ったという、ジョーパスのギター教則本。
Joe Pass Chord Solos: For Guitar, Vibes & All Keyboard Instruments
- 作者: Joe Pass
- 出版社/メーカー: Alfred Pub Co
- 発売日: 1987/02
- メディア: ペーパーバック
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昔だったらカシオペアには興味があっても、ジョーパスまでには興味が沸かなかったのですが、なんだか今回はものすごく気になります。ギター教則本も、ピアノで弾いてみたら何かわかるかも。気になる気になる。
そうそう、ギターもあれこれ紹介されていました。フレッテッドとフレットレスのダブルネックは、やはり演奏すると体への負担が大きいので最近は(ライブの際になのか、レコーディングの際なのか、ちょっと覚えていませんが)使っていないという話をされていました。このギターを持ってメドレーを演奏されたあとに楽屋に伺ったことがあり、「重そうでしたよね」というと「重かったです」といって苦笑されていましたが、まさにシャレにならないほどの重さだったんだなあ…と、今更ながらしみじみ。
ダブルネックギターは「重いしキツそうだな」と予想はできたでしょうに、それでもわざわざそういうギターを特注で作って、長時間のメドレーで使って、やっぱり重過ぎたか、みたいな…。効率だけ見たら悪いかもしれませんが、そういうものこそが試行錯誤であり、クリエイティブであることの本質なのかも。