山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

納浩一セッション@渋谷ラストワルツ 2011年10月19日

渋谷のラストワルツ。6月にオープンしたばかりの新しいライブハウスです。
この不景気にライブハウスをオープンという話に驚き、渋谷駅から歩いて10分ぐらいと立地も便利なので、一度行ってみたいなと思っていました。

エレキとウッド、両刀使いのベーシスト納浩一さんのセッションに、ドラムは則竹さん、ギターは三好功郎さん、トロンボーン村田陽一さん。

ピアノがなくて、トロンボーンがフロントという、すごく変わった編成です。

納さんと則竹さんのリズムセクションのセッションは、硬派なフュージョンをいっぱい熱く演奏してくれることが多いので、行くと必ず大満足で帰ってきた記憶がありました。とはいっても、もう5年以上前なので、路線が変わってないかな…と思っていたら、やっぱり硬派なフュージョンがいっぱい。

いきなりステップス・アヘッドの"Tee bag"から始まり、最後はスイングにアレンジしたウェザー・リポートの"Birdland”曲ですから。カリプソのラテンなリズムに、8ビート?? っぽいノリの曲もあり。三好さんは、ジェフベックばりに弾き倒す場面あり、一転してクールでさわやかな音あり、もうフュージョン好きにはたまらない展開。

そしてトロンボーンの村田さん。ソリッドブラスのライブを聴きに行ったことは確か私もあったと思うんですが、しかもフロントで演奏されるのを聴いたのは初めてでした。当たり前なんだけど、スライドするから音がずりあがり、ずり下がるのが、ほんとうに表情豊かで楽しい。大きな楽器で速い動きは難しいはずなのに、どれぐらいすごいのか理解を超えたおそらくすさまじい超絶技巧で自由自在に歌っています。

 村田さんのオリジナルの8分の5拍子という曲が聴いていて妙にノってしまったし、もうひとつ、フェイスブックでカナダ人のリスナーから「大好き」と絶賛されたという曲も、はっとするような軽やかでやさしいニュアンスがありました。トロンボーンって、低音でばしっと…というイメージをどこかに持っていた自分は安易だったと、反省しちゃうぐらい。スライドがない金管楽器って物足りなくない?? という気がするほどに、豊かな表現力といい曲を堪能しました。

このラストワルツ、伊豆高原在住の歯科医で、「しおさい」レーベルの石原さんがやっていらっしゃるんですね。ドラムの聞こえ方が、1音1音はっきりしていて、バスドラムは生のままドカーンと方向もそのまま響いてきて、今はなき六本木ピットインを思い出しました。叩きまくりで手数の多い場面も、1音も逃さず聴こうと集中していると、これがまた1音ずつはっきり聞こえてきて、あっという間に時間がたってしまい、充実感がありました。

ラストワルツ、演奏にすごく集中できて、広さは音楽室よりも小さいぐらい。贅沢な時間を過ごさせていただきました。

http://lastwaltz.info/