山本美芽のフュージョン・ダイアリー

音楽ライター山本美芽によるジャズとフュージョンについての取材日記です。

天須和則@STB139 2012年2月19日

ひさびさに、今はなき「六本木ピットイン」ちっくな、フュージョンのセッションに行ってきました。STBは2階席までばっちり埋まり、昔からのスクェアファンで、しかもスクェア以外もたくさん聴いていて、わりとまめにフュージョン・ファンとしてライブハウスに通っている、しかも手当たりしだいではなく、本当によさそうなセッションに狙いを定めてやって来ていると思われる、気合の入ったファンがたくさんつめかけていたのでは、という雰囲気でした。

天野清継(ギター)、須藤満(ベース)、和泉宏隆(ピアノ)、則竹裕之(ドラムス)

というメンバーで、曲を持ち寄ってのセッションです。

どんな曲をやっていたのかというと・・・

天野さん曲 レニ・スターン、イエロージャケッツの曲、これすごく渋くてかっこよかった。イエロージャケッツってギターじゃなくてサックスの4人組だけど、天野さんのギターはめちゃめちゃはまる。オリジナル"Take it easy folks"では赤いセミアコを弾いていた。これが先日聴いたジョン・ピザレリの音をちょっと思い出すような、あったかくてノルタルジックで、すごくインパクトのある音で、他の3人とのバランス、とくに和泉さんとのバランスがとても良かった。

須藤さん曲 最近出たソロアルバム Waking Up からの曲。うっかりしていてこのCDまだ買ってなかったが、どれもメロディといい構成といいしっくり来るハイクオリティなものばかり。須藤さんやっぱりすごい。帰ってすぐに注文しました。

和泉さん曲 スクェア時代の"Sweet Sorrow"は、スクェアのツアーで、うるうるしながら聴いた思い出のバラード。聴いた瞬間に、星空みたいな照明が目に浮かんだ。しかし後半、すごい勢いで転調していく。「こんなに転調してたっけ」と驚いた。というか大学生のころ(リアルタイムで)、転調という概念はじゅうじゅう承知だったが、スクェアを聴きながら「転調してるじゃん」というふうな言葉が思い浮かんでいなかったのだ。「いい感じに盛り上がっている」と思っていた(爆)。"Beyond the dawn"これも名曲、出だしの和音だけで、もうわしづかみに世界に引き込まれる。ギターはアコギだったけれど、ピアノも減衰系、アコギも減衰系で、もうちょっと持続音が欲しかった。エレキギターで弾いてみても、いいかも。アンコールでピラミッドの"tornado"怒涛のユニゾンかっこよかった。和泉さんの曲、ピアノ、音色と歌い方がワンアンドオンリーで素晴らしい。そして思い出の曲が時間を経ても、ずっと輝いていることがうれしかった。

則竹さん曲 スクェア25周年のときの曲"Eurostar"

誰のチョイスだか不明な曲 マイク・マイニエリの「サラズ・タッチ」これ、ものすごくよかった。しみじみとした気持ちになった。和泉さんのピアノ、この曲に、はまりまくり。イヴァン・リンスの曲。サンボーン"Snakes"は、瞬間的に爆音もありで、須藤さんがスラップで駆け巡るテクニカルなプレイを披露してくれて大満足。全員炸裂

といったところです。

またこの誰が持ってきたのか不明とか曲名がわからないのが、いいんですよね。すごく終わってからも気になる。なんだっけー誰のだっけ、とか、家にあるCDを捜索して「ない!!」「あった!!」とか一喜一憂する。それで、別のセッションに行って、不明曲が演奏されて、はじめてその正体がわかったりとか。

ステージ上は、4人が横に一直線に並ぶ配置。フュージョンだけど、まったく爆音ではない、大人っぽい、落ち着いた、上質な演奏と上質な音楽。フォープレイみたいだなあ、と思っていたら、須藤さんがブログに「俺たちフォープレイみたい?」と思った、とお書きになっていました。

名人たちが冷や汗をかきながらぎりぎりのところで勝負に出ている現場。微妙? な瞬間があるからこそ、うまくいった瞬間が最高に楽しいのです。完成形のショーにはない面白さ。この面白さを求めてライブハウスに通う聴衆がいるっていうのは文化だと思います。こういうセッションをまたぜひ聴きたいものです。

そういえば、私、ここ1年、則竹さんの出演するライブにせっせと通いましたが、MCで則竹さんが話したのは、この日が始めてでした。本田雅人さんのライブではお話しているようですが、他だと、しゃべる立場じゃないって感じで、演奏だけしているんですよね。でも、昔の六ピセッションでは、いつも則竹さんは何かしゃべっていた。この日は出演者全員が、ふつうに、決してダラダラとではなく、リラックスした感じでしゃべっていました。

天野さん「なんかアウェーな感じが…」則竹さん「アウェーじゃないですよ」みたいなやりとりが、セッション中のプレイヤーの心境を音から推測する手がかりになって、すごく楽しめるんです。「アウェーな」という言葉を聞いた後に、スクェア曲を演奏している最中に、天野さんを見ると、なんとなくがんばっている感じで、ほかの3人はたくさん演奏してきた曲だから、余裕だったりして。こういうのをいちいち観察するのがほんと楽しいです。

和泉さんのMCも実に楽しい。というか和泉さんはMCも芸のうちというぐらい、しゃべりが上手。和泉さんのしゃべりでいっぱい笑うと、すっきりして帰れます。

TELEPATH 以心伝心

TELEPATH 以心伝心

  • アーティスト: Pyramid,Julia Faraham,ジョー・サンプル,ウィル・ジェニングス
  • 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック
  • 発売日: 2006/06/21
  • メディア: CD
  • 購入: 1人 クリック: 23回
  • この商品を含むブログ (10件) を見る
これにトルネード入ってます。しかしこのピラミッドのアルバム、もう廃盤らしく、絶句。なんでこれが廃盤なんでしょうか??

スモーキン・イン・ザ・ピット

スモーキン・イン・ザ・ピット

もはや基本中の基本。サラズ・タッチはここに入ってます。

Waking Up ?Remember the day, 2011?

Waking Up ?Remember the day, 2011?

ちょうど今CDリリース記念ツアー中です。全国30箇所以上をまわるという、すさまじいスケジュールです。これだけ自分でブッキングした須藤さん、すごすぎます。しかも、5つの期間に分けて、ミュージシャンの組み合わせが違うんですよね。則竹須藤のリズムセクションを聴きたいけれど、東京には来なくて北海道限定だから、わざわざ関東から札幌まで遠征にいくという知人の話も。私も行きたい(笑)旅行もかねて。

Upfront

Upfront

デビッド・サンボーンの"Snakes"。このCDもかなり基本な感じですね。
SPIRITS

SPIRITS

則竹さんの”Eurostar"収録。この年、私は長女を出産した直後の5月、スクェアのマネージャーさんからお電話をいただき、このアルバムのツアーパンフの原稿を担当することになり、必死に書いたものでした。今となっては懐かしいです。


夏の惑星

夏の惑星

"Sweet Sorrow"収録。1994年の作品。このへんになると、私にとってはもはや青春そのものなので(笑)全曲のメロディもソロもベースソロも歌えるぐらい聴きました。懐かしすぎる。

HUMAN

HUMAN

"Beyond the dawn"収録。このアルバムもすごく聴いて全部頭に入っていますね。でも、この時期のスクェアとしては、他のアルバムのほうが好きかな。でも、この曲は名曲。アルバムに入っているほかの曲は、そんなに大人っぽくないものもあるけれど、]"Beyond the dawn"は、とても洗練されています。

そうそう、和泉さんはピアノだけでなく、オレンジのラメ色の「ローズ」を使っていました。本物のフェンダーローズではないらしいですが、ローズな音色のローズの音色が出る専用の楽器です。あれいいなあ。欲しくなっちゃいました。