山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

T-スクェアスーパーバンド 2013年7月6日 東京・渋谷公会堂

土曜日に、T−スクェアを聴きに渋谷公会堂に行ってきました。

若干曲名などネタバレございますので、札幌公演に行かれるかたはご覧にならないでくださいね。





スクェアは今年35周年。
客席に座って私が書いたツアーパンフを読んでいる人を見ると
「うわ、どうかな、ひっかかりなく読めてるかな」と
気になって仕方ないです。


コンサートが始まりました。

昨年も思ったけれど、素晴らしい!! 今のスクェア。
オリジナルメンバーで還暦も間近な安藤さん伊東さんに
若手・・・私と同じ年のキーボーディスト河野さん、
さらに若い、もうすぐ30歳のドラマー坂東さん。

ベテランふたりも衰えるどころか磨きがかかっています。

若手ふたりも、演奏だけでなく、作曲アレンジの能力がものすごい。

うちの子供たちにきかせると、「あ、これスクェア?」といって
すぐに覚えて歌ってしまうぐらい、キャッチーなスクェア節をつくってくれます。
しかも新鮮さをもって聞かせてくれます。

さらに今年は、エンタテインメントとしても完成度があがってました。
35周年のスーパーバンドということで、ゲストがツアーに参加されました。

なかでも強力だったのは仙波清彦師匠のパーカッション。
楽しくしたいという意識が本当にすごくて、そこが他のメンバーに与える影響の
大きさに圧倒されます。

コンサートの最初から最後までなんだか笑ってばっかりだったのは、仙波さんの存在が大きいなあ。

なんで笑っていたんだっけ???

MCでギャグを言ったのが面白かったから笑ったっていうのはあまりないんですよ。

そうそう、「オーメンズ・オブ・ラブ」。サポートベースで
元メンバーの盛り上げ隊長、須藤満さんがジャンプするのにあわせて観客もジャンプ・・・私も3回ぐらいジャンプしちゃいました。ヒール靴だったのに、この年になって!!
ジャンプしながら「いや〜ジャンプしちゃったよ〜」って、笑わずにはいられませんでした。でもみんなまわりもほとんどジャンプしてました。

あとは坂東さんがドラムソロで、緻密に音符を繰り出しながらも、ふとスティックをくるくるまわしながら、スクリーン用カメラにピースサインしてたのが、妙におかしかったし。

仙波師匠のシンバルがぐるぐるまわるように仕掛けがしてあってそのまわすタイミングがなんとも面白おかしくて・・・

・・・・音楽に関係ないことばっかりですね!?

でもね、うまいだけのスクェアのコンサートなんて、つまんないんですよ。
面白くないと。

演奏が神業的にうまいのは当たり前。
曲がすばらしいのは当たり前。
懐かしい曲も新しい曲もとりまぜて1曲ごとに感動があるのが当たり前。
しょっちゅう面白いことがあって笑っているのが当たり前。

なんて、ほんとうに贅沢なんですが・・・


でもそれに慣れちゃっているから、期待してしまうんです。

期待されるほうは大変だろうけれど、応えてくれるから、毎年アルバムを買って、ツアーにも必ず行ってしまうんですね。

そうして35年たっていたんだろうなぁ。

宮崎さんと伊東さんがふたりでサックス・デュオをたくさんやってくれて、素敵でしたね。宮崎さんスクェアにいたころよりも相当上手になってらっしゃってちょっとびっくりです。あったかくて厚みがあって輝きと存在感のある音。メロディに自然と耳がいくような。またその宮崎さんと比べて、伊東たけしさんの音は、渋くて独特のエモーショナルな感じがたまらないな〜とか、聴き比べる楽しさがありました。

やってくれてうれしかった曲…「夜明けのビーナス」。懐かしすぎてイントロだけで涙が出ちゃいました。最近めったにコンサートで泣かないんですけどねぇ。この日のスクェアはいろんな理由でけっこう泣いちゃいました。今回のコンサートもいつもどおりたぶん選曲は坂東さんがしているんでしょうね。やってくれるなぁ。もう。

松本圭司さんの「ア・ドリーム・イン・デイドリーム」、これはめまぐるしい転調がものすごく素敵でドキドキする曲で大好きな1曲、これがライブで聴けたのはやっぱりしみじみうれしい。

あとは宮崎さん伊東さんふたりでの「メガリス」、サックス2本だとやっぱり豪華でいいですよ。もともとのアレンジでもキーボードでブラスセクションをいっぱい鳴らしていたぐらいだから、サックス2本、とってもよく合っていました。あとで伊東さんが「いやぁ、オレのはなんちゃってメガリスだから」と苦笑されていましたが、いやいやどうして、本田さんとは違う面白さで楽しめました。

そうそう、新作「スマイル」に入っている宮崎さんの曲「テンプス・アット・10PM」が、ゆったりしたサックス2本用の曲なんですが、あれがとってもしみじみ味わいがあって聴きごたえありましたね。それに、本編最後のほうで盛り上がったのが、同じく「スマイル」に坂東さんが提供した「パラダイム」。実はツアーパンフではこの曲の話が妙に多くなってしまったんですけど。これはなかなかトリッキーで、スリルがあって、楽しかったですね。パーカッションとドラムのソロから、安藤さんがカッティングで入ってくるタイミングが難しいみたいで、一生懸命安藤さんがドラム方面を見ていました。

それからベースソロ客席乱入もやっぱり楽しかったなぁ。須藤さんがメインですが田中さんも一応客席に来てくださったんですよ。やっぱり来年、須藤さんがいなくても、田中さんは客席を一周してくださるとうれしいなぁ。須藤さんもそうですがカシオペアの鳴瀬さんもいらっしゃるし、ジャパニーズフュージョンのベース奏者のもはや伝統ってことで、客席乱入パフォーマンスは受け継いでほしいんですよね。

それとトゥルースを聴いて思ったこと。則竹さん時代のトゥルースとは違うものが完全にできあがりましたね。同じようだけれど確実に手触りの違う、坂東河野になってからのトゥルース。辛口でシンプルな魅力、それをロックっぽいというのかな。ダイナミックだけれど洗練されている。いまのスクェアらしい演奏の魅力がよく出ていました。トゥルースなんて、もう全パート頭に入っているぐらい弾いたり聴いたり私もやりましたけれども、改めていい曲だと思っちゃいました。



・・・なんだかいっぱい書いてしまいましたけれど、音楽的な面でも、エンタテインメントとしても、非常に充実した公演で、安心して楽しめました。感動したり笑ったり盛り上がったり、じっくり聴いたり、素敵な時間を過ごしてきました。いつもアンコールが3回も4回もあって、帰るに帰れないのがスクェアのコンサートなんですが、今回はエンドロールとしてスライドショーでメンバーひとりひとりの名前とスタッフのお前が映像で流れました。なんとなくクールダウンして良い感じで帰れましたね。10月には超ひさびさの日比谷野音、そして大阪フェスティバルホール公演があるそうで。大変楽しみにしています。