山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

小曽根さんと佐渡さん、シエナのラプソディ・イン・ブルー

テレビ番組「題名のない音楽会」で、小曽根真さんが佐渡裕さんと共演されました。曲は、ガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルー。感想をまとめておきます。

 これ。すごかったですよ。

 楽しさやキレのよさやスリルだけじゃない、

 深みや圧倒的なスケールやどうしようもない美しさに到達していました。

 ジャズを弾いているときにはこれまで見たことのない、苦しそうな小曽根さんの表情に正直いってびっくりしました。

 全力で限界に挑んでいるときはこんな顔になるんだろうなぁと。

 それに佐渡さんが、小曽根さんが即興しているのを聴いている表情がまた、険しい顔のときがあって驚き。

 本当に何時間でも聴衆を魅了できる即興が続けれるピアニストをソリストに共演するっていうことの重みや貴重さ、

 そことオケを合体させる責任感の重み・・・

 いつも面白いことばかり言って笑わせてくれる小曽根さんと佐渡さんが「戦いだから」みたいなことを演奏前に言っていたのが印象的でした。

 あのふたりがこわ〜いマジな顔になって真剣勝負して火花を音で火花を散らす様子がたまらなかったなぁ。

 フレーズがその場で生まれるジャズの新鮮さと、緻密に構築したからできるクラシックのスケール。

 これが1曲で両方味わえて、とってもエキサイティングでした。

 シエナの演奏も、なんだかワクワクするような新鮮さ、それでいてすごく安定して聴けるものでした。

 コンチェルトのソリストというのは、圧倒的な音楽性、あっといわせるテクニックとパワー、スター性カリスマ性、そしてオケや指揮者との協調性と、何拍子も揃っていなければならないんです。

 しかもジャズ屋さんでカデンツァの即興が見事にできるのに、もとの楽譜も余裕で弾きこなし理解している。この境地に到達できているピアニストはそうそういません。小曽根さん、クラシックに挑戦して10年ですが、そこまで到達したなという手ごたえを聴いていて感じます。 


  小曽根・佐渡のふたりでレコーディングして、アルバム出して欲しいんですけど…。

 
 

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、パリのアメリカ人、ピアノ協奏曲ヘ調

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、パリのアメリカ人、ピアノ協奏曲ヘ調

ガーシュウィン ラプソディインブルー (zen-on piano library)

ガーシュウィン ラプソディインブルー (zen-on piano library)


 そうそう、東京では10月に小曽根さんがラフマニノフのパガニーニバリエーションをオケと共演するコンサートがあります。ぜひお見逃しなく。S席5000円は安いと思いますね。


http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_131026.html