山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

ジャズジャパンアワードで山中千尋、桑原あい、フォックス・キャプチャー・プランを聴く


横浜の日産本社で行われたジャズジャパンアワード、表彰式後のライブを聴いてきました。

桑原あいちゃんと山中さんは、今年どちらもインタビューさせていただきました。ふたりともテクニックとアイデアがものすごい。クラシック的な技術がすごくて、タッチはきれいだし音色の引き出しは多いし音量は出るしピアニッシモは通るし。さらにアイデアが面白くて、それが整理整頓されていて聴かせるし、キャッチーなところもあるし。ふたりともそうなんです。でも音は違うものになっているのが面白いというか。

あいちゃんは今度発売になる3rdアルバムからの曲を演奏していまして、キャッチーだった2ndよりちょっと内省的な雰囲気でした。彼女、爆発的なパワーはあるけれど、上原ひろみちゃんのような感じとはちょっと違いますね。もっとよい意味で、哲学的、思索的だけど難解にならない雰囲気がいい感じです(といってひろみちゃんに哲学がないとかいうわけではありませんが)。

山中さんは、「エリーゼのために」やオリジナルを弾いてくれました。いや〜小柄なのに、ピアノの音がガンガン出るなぁ。しかもまったく濁ってなくてきれいで。どうなってるんですか。基本的なテクニックがいいのに加えて、やはりいいたいことを伝える音の選び方が秀逸だからこそガンガン出ているように感じるんでしょうね。観覧自由のフリーなライブで、若干ざわついていたせいか、グリッサンドも片手で上から下までなんて生易しいものではなく、左で1オクターブグリッサンドしたら右手また1オクターブというのを5回も6回もやって重層的に鳴らしてました。いや〜パワフルだわぁ〜。桑原さんもそうですが、しゃべると優しげな声で可愛らしくて、あのギャップはいったい(苦笑)。

フォックス・キャプチャー・プランは私、不勉強で、はじめて聴かせていただきました。ロックな方向性をめざしていてすごく売れているんだそうで。今回のステージを聞いた限りでは、私にはよく理解できませんでした。クラシックとかオールドファッションなジャズとかフュージョンとかに私の耳も限定されちゃっているのだろうかと不安になってしまいましたが。また聴こえ方が変わるかもしれませんね。


ジャズジャパンは、スイングジャーナルの編集長やスタッフが中心になって創刊した雑誌ですけれども、こうした新しい音楽に光を当てていくあたり、センスが若くて素晴らしい。

50年代のジャズも伝道しつつ、現代のジャズを盛り上げていく雑誌なんですよ〜! という強力なアピールにも思えました。

JAZZ JAPAN (ジャズジャパン) Vol.43

JAZZ JAPAN (ジャズジャパン) Vol.43