本田雅人さんのビッグバンドを聴いてきました。B.Bステーションは、90年代の六本木ピットインの初ライブにもちゃんと行ったんです。それ以来定期的にずっと聴いています。
猛スピードの複雑なアンサンブルを完璧に決める超人軍団のすさまじい演奏でありました。
本田さんのオリジナルのほかに、新百合ヶ丘の昭和音大でクラシックとジャズの両方が好きな中高年の地元の音楽好きのお客様を意識したのか、キャラバン、アンコールのスペインなどメジャー曲を彼らなりの超絶演奏でやってくれたのが楽しかった。ルパン3世のテーマはあまりに完璧でかっこよすぎて絶句でした。これ以上の演奏ってないんじゃないのというくらいの特にホーンセクションの勢いから音圧から細部に至るアーティキュレーションまで完璧。すごい。
サックスのためのソナタ18番は本来ハーモナイザーでやってたものを、テンポをまったく落とさずバンド内サックス奏者の生アンサンブルで合わせるというとんでもないことになり、これまた絶句のスーパープレイ。
佐山さんと本田さんでデュオになってカプースチンのエチュード1番をやったのが面白かった。本田さんは右手のメロディを弾いて、中間のアドリブ部分はがんがんソロ、その後佐山さんもソロ。
全般的に「すごい」と圧倒されつつも楽しめました。マニアの私も、いわゆる本田ファンでない方でも楽しめたのではと。さすがのバランス感覚です。
細かいことをいえば、ギターとピアノがもうちょっと聴こえるといいんだけどなぁ。ホーンの休みを増やさないと無理なのか。あと、このサウンドは好きなんだけど、ウルウルするツボには、あまりヒットしないことに改めて気づきました。もう少しクールにエキサイトする音楽なんですよね。
勝田さんと本田さん、二大フュージョン界の巨頭なんですが、ライブ後の心境が勝田さんだと「うううう〜(泣)」、本田さんだと「ひえええええ〜(驚)」という違い。本田さんのアドリブは、たぶんスケールアウト? と思われる音がすごく多くて難解のようでぎりぎり難解でない、不思議な雰囲気をあちこちで出していました。安易な連想かもしれないけれど、スケールアウトしまくりというのはマイケル・ブレッカーっぽいと思ってしまう。勝田さんもマイケル・ブレッカーが好きといっていてスケールアウトもよくやっているけれど、やっぱり違う。本田さんのプレイスタイルはやはりジャズ的で、音の並び方の面白さやリズムの複雑だけど面白い構造などに重きを置いていて、その結果、より知的な面白さのほうにいっている。勝田さんは強弱とか音色の変化、踊れるリズムに重きを置いていて、より感覚に訴えるほうにいっている・・・いろいろ考えることありますね。