山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

吉田兄弟×レフレール スペシャルコラボコンサート 市川文化会館

先月の鴻巣に続いて聴いてきました。

どうしてもまた聴きたくて。

名古屋公演あるのでセットリスト見たくない方は見ないでくださいね。

 

 

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前半は、まずレフレール。「サムライ・ファンキー」は16ビートのうねるようなグルーヴに、どんどん転調したり、右手の細かい16分音符が派手でカラフルな世界が暑さを吹き飛ばすかのよう。

「海へ行こう」は、守也さんが弾くメロディが柔らかくて、キラキラ輝く海みたい。きれいでした。

そこからブギウギ即興演奏。

テンポがどんどん上がって行く盛り上がりが楽しかった。そのまま「On y va!」。かなり速かった、、スゴい。最後は「琉球唱歌」。内部奏法がまるで三線みたいで素朴ないい味わいです。これ、アルバムに入ってたかしら?

 

続いて吉田兄弟。私は彼らのライブは2回目でまだよくわかっていませんが、兄・良一郎さんからは内側からじわっとくる芯の強さ、弟・健一さんからはガンガン出してくるアグレッシブや鋭さを感じました。

 

コラボの部、さらに一体感がでて息がぴったりになり、間合いがとても心地よくて。

ロックな力強さ、骨太な感触は、吉田兄弟とレフレールどちらも共通していて全編に流れていて。

 

三味線がメロディ、ピアノが一人で伴奏みたいなシンプルなアンサンブルの場面も結構あり、これが全部の音や演奏者の思いがよく伝わってきてきました。

 

津軽三味線のバシバシ鳴る音でつくるグルーヴ、

音程が「くぃ〜ん」とスライドするニュアンスがいい。

レフレールも音色、リズム、ハーモニーが多彩で、とくに内部奏法は音の立ち上がりが柔らかく、響きに華があり、豊か。三味線の音を包み込んでいました。

 

「冬の桜」

 

「パラレルワールド」

 

「パノラマ」

吉田兄弟の一瞬をとらえる間合いに、レフレールのお二人がバシッとハマっていて、曲が終わると「決まった!」とガッツポーズしたいような感じです。

 

レフレール弟、圭土さんのシャクナンガンピを健一さんとデュオで。しみじみした旋律を三味線で。沖縄の三線のようで、これハマりすぎ。味わい深い。

 

健一さん曲「バルセロナ」、レフレールもスペインぽくするのは大得意ですから、カスタネットみたいな音を内部奏法で出したり、どっちの曲かわからないくらい。

 

レフレール兄 守也さん曲「DD ROCK」。鴻巣よりテンポ落として、ちょうどいいパワフルなグルーヴが出ていました。三味線のバシバシ鳴る音がピアノの音圧と重なって熱かった!

 

本編最後は吉田兄弟の「RISING」。レフレールがドラム、ベース、ギター役をつとめます。こういうのはレフレール得意なんですよね。余白をうまく残しながら鮮やかにまとめていました。

 

アンコールは、レフレールの「Joker」。

和風でカッコいいノリの曲です。これは吉田兄弟がメロディを弾いていて、合わせるのもラクそうで、リラックスして聴けました。

 

レフレールの二人、兄の守也さんと弟の圭土さん、どちらも素晴らしい作曲家で、しかも和風の引き出しがある。この和風路線が、改めて、ものすごくモダンで洗練された雰囲気やパワーがあります。

 

吉田兄弟の楽曲も、三味線二丁だけでもいいのですが、リズムやハーモニーを足すとイメージが広がるので、レフレールが絡む意義は大きく

スラップベースのいわゆるチョッパー奏法的な要素もグイグイ迫ってきます。吉田兄弟のリズムのシャープさは突出していると感じます。

 

レフレールのふたりは若い頃ルクセンブルクに留学、吉田兄弟はいま海外公演が多く。

どちらも世界共通語としてのロックを自分のものにして、

クラシックやブギウギ、津軽三味線という伝統を受け継いで、

さらに世界の中での「和テイスト」の存在感をわかっていて、

客観的に見ながら、エネルギッシュかつエレガントに構築しています。

和の中には、民謡のグルーヴがあって、それを8ビートやシャッフルと融合させて。きっと1曲ずつ細かくみていくと、これはこう、これはこう、と、細かくリズムのニュアンスがあるんでしょうね。

 

もっと聴きたいな。このコラボ。

DVDやアルバムとか作ってくれないかしら。