山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

古川初穂ピアノトリオ 本厚木キャビン

初穂さんのピアノトリオを本厚木キャビンで聞いてきました。

則竹須藤のリズムセクションだからとにかく行かなきゃと行きましたが

初穂さんの新曲が4曲? 

美しくて繊細で、しかもわかりやすくて

ロックな骨太さもチラッとあり

プログレチックな難しいリズムのユニゾンもあって聞き応えがありました。

どの曲もソロがめちゃくちゃ盛り上がってトリオで疾走するんです。

あの気持ち良さといったら。

 

則竹須藤のお2人が馳せ参じるのも納得。

ジャズのピアノトリオは、ウッドベースなのかエレキベースなのか、そこで音楽性が分かれるところですが、エレキベースはシャープで細かいフレーズを演奏するのに適していますね。初穂さんはプログレとかロックの要素を含んでいるので、やはりエレキベースなんだなと。

ノリストコンビの2人というと、反射的に行かなきゃと思ってしまう。それは、この2人が一緒に演奏するときの強力な波動が毎回ものすごくて。スクエア在籍時には10何年ずっと一緒に演奏されていたわけですから。一緒に音を出しているだけで、その説得力とパワーたるや。ライブで聴いて「これって何なの? すご過ぎる」と感動しなかったことが一度もない。

 

私の中ではお2人が束になって演奏しているイメージが強いのですけれども、今回は、それぞれ自由に違うことをやっていながら実はピタッと合っているような感じ。トリオのすごく密度が濃くて3つの違う世界が合わさって1つになったり3つの色が見えたりするような時間でした。

 

初穂さんは、とらえどころがあるようなないような、でも演奏を聴くと必ず引き込まれてしまう。64歳になりましたとおっしゃっていました。いかにもテクニックがある的なひけらかし的なわざとらしいことを全くしない。淡々と弾いています。ものすごく繊細で響きが豊かで美しくて、力強くてびっくりするような展開があって。あらゆる意味で演奏は完璧。アイデアのひとつひとつがどこかから持ってきたような感じが全くなくて今生まれたばかりのように新鮮。誰にも似ていない不思議なピアニストです。

 

f:id:mimeyama:20191204084946j:imageフライヤーなどの写真を撮り忘れてしまったのでお酒とおつまみの写真しかありませんが…雰囲気だけでも。

 

則竹さんは、明るい茶色の木目のサカエのセット。穴あきシンバルもありました。

 

あまりにご機嫌で

たくさんお酒を飲んでしまい

セットリスト怪しいですが

 

アリエル

ビートルズの何だったかな、、

 

 

いきものかがりの「ありがとう」

ドラえもんの歌

 

とあったあたりです。


いわゆる歌ものをジャズにする類の演奏は私はアルバムレビューの仕事で果てしない量、たくさん聞いています。その上で、初穂さんのこのアレンジ、展開の素晴らしさは本当に唸ります。原曲のイメージはそのままに、微妙に新鮮に感じるようにメロディーラインをいじる。リハーモナイズしてると思うのですが、これがいかにもハーモニーかっこいいのに変えてみました的なわざとらしさは全くなく、自然な美しい流れで、でもやっぱり原曲よりもっと素敵にジャズっぽく絶妙な落としどころになっている。

森山良子さんといった重鎮ミュージシャンの方が共演ミュージシャンとして初穂さんを手放さない、それはそうだろうなとしみじみ思った次第です。

 

yo・ka・・n…

yo・ka・・n…

 
かげろう

かげろう

 
おくにうた

おくにうた

 

 

 

初穂さんはFacebookに次のアルバムも間近かな、みたいなことをお書きになっていたので期待したいところです。