山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

渡辺香津美トリオ 六本木サテンドール 2013年4月5日

金曜日に、六本木のライブハウス「サテンドール」に、渡辺香津美さんトリオの
演奏を聴きに行ってきました。

金曜日の夜の六本木、東京ミッドタウンの地下から地上にエスカレーターで あがっていくと、さすがに見事な夜景。金曜の夜の六本木、歩くだけでも華やいだ雰囲気です。
ミッドタウンのすぐ近く、3分も歩かないうちにサテンドールに到着。ビルの4階にあります。

渡辺香津美(ギター)井上陽介(ウッドベース)則竹裕之(ドラム)

 3人が、すでに演奏を始めていました。

 いつも思うことですが、香津美さんが弾くエレキギターは、音がものすごく太くて
あったかい!! どうやったらあんな音色になるのか、まったく謎です。

演奏してくれた曲は、

「ワルツ・フォー・デビー」
「ハバナ」
「ザ・サウドワインダー」
「アイル・リメンバー・エイプリル」
「上海」
「モーメンツ・ノーティス」
「ア・チャイルド・イズ・ボーン」
「「シー・ドリーム」
「マンハッタン・フル・ダンス」

 などなど。最近のアルバムからの曲がやはり多かったですね。


Live at Iridium

Live at Iridium


途中、トークでもお話がありましたが、
井上さんと則竹さんは、高校のときのバンド仲間で、当時、香津美さんの大ファン。その後ふたりとも別の場所でプロとなり、活躍していたところ数年前に、香津美さんに呼ばれて行ったら、リハーサルで再会したお話なども。

憧れの香津美さんと演奏できるなんて〜と夢がかなった状態なわけですが、それが現実になってしまうと、そんな感傷にひたるヒマはあまりないのかなと。れだけいい演奏ができるか。それしかないわけですから。

 この日「すごい」と唸ってしまったのは、こんな場面でした。

香津美さんが、ソロで20秒か30秒ぐらい(だと思いますが計ってません)ごとに、まったく曲想の違う、別のアイデアのアドリブを次々に弾いていました。

ぱっと新しいことが始まった、その1拍後ぐらいに、ベースとドラムのふたりは、それに瞬時にくらいついて、ただついていくだけでなく、盛り上げたり一歩引いたり、伴奏に徹したり。

また新しいことを香津美さんが始める。
くいつくふたり。
また新しいことが。
くいつく。
また。

ひたすらそれが続いて。

まさに手を握る展開。

終わったときの客席の歓声といったら、それはすごかったです。

ジャズミュージシャンがアドリブをとる様子は、これまでに膨大に聴いて来ましたが

これだけ斬新なアイデアが次々に出てくる、泉のような感じは、ちょっとめったに経験できないほどのものでした。

モーツァルトもこんなふうだったのかなぁ…。
弾きまくる、弾き倒す、といってもテクニック的なこと以上に、アイデアの抱負さに圧倒されます。

また、ドラムソロからテーマに戻る・・・なんて場面も、これまでたくさん聴いてきましたが、太鼓を聴いているだけで、目を合わせたり、何か合図をする こともなく、まったく自然に戻れてしまう。この感じも、なかなかめったにない位の自然さと音楽的な流れでした。

ギタートリオだと、メロディとハーモニーの大部分をギター一人で担当することに
なり、仕事量が多くなるし、変化をつけるのが難しいはずなのですが、
香津美さんは、まったくそうしたことを感じさせません。

 ギター一本で空間に素晴らしい絵が描かれていくかのように、メロディも、ハーモニーも、あるべきところにおさまり、 不思議な手品を見ているような。

 しかし結局、3人のリズムが素晴らしかった、それに尽きるのかもしれません。
 
 椅子に座って目を閉じて、音を聞いているだけで、自然と体が動いて、もう、何もいらない感じでした。

 ライブ翌日になっても、頭のなかは香津美さんのギターでいっぱい。ぐるぐる状態。
 社会復帰できてません…(泣)いつもそうなんです。

2011年1月の渡辺香津美トリオ、モーションブルー横浜ライブの記事
http://d.hatena.ne.jp/mimeyama/20110123/1295798556


2011年8月の渡辺香津美トリオ、六本木STBライブの記事
http://d.hatena.ne.jp/mimeyama/20110817/1313596067