山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

斎藤圭土  Boogie for Spring ルーテル市谷センター 2021年6月4日

斎藤圭土さんのルーテル市ヶ谷でのコンサートを聴いてきました。

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スタインウェイでした。たぶんここのホール古いので古めの楽器? 実は私、中学高校の時毎年のようにここで発表会で大学の卒業演奏会もここ。思い出のホール。スタインウェイ、これを弾いていたのかしら。ヴィンテージ系のスタインウェイらしい渋くて良い音でした。

 

今回はブギウギの歴史を沢山お話してくださいました。初期のブギウギの成り立ちから、・・・(ネタバレになるので自粛しますが)、ヨーロッパにブギウギが渡って、その系譜が圭土さんの師匠のアクセルさん。なるほど、そういう消えかかった伝統音楽みたいな状態から、ぎりぎりのところでつないできてくれたのを私たちはいま聴いていられる・・・この経緯が改めてきちんとわかったところが非常に貴重でした。

 

生演奏で聞きましたけど、ずっと左手でビートというかリフを刻むわけで、そのテクニックにタイムキープ、ドラマー的なものとベーシスト的なものが一体となっていて、相当な人間国宝的なテクニックなんですよね。楽譜にしたらなぞるのは私もできるものがたくさんあると思うけど、それをお客さんが踊れるレベルまでどうやってもっていくのか・・・よくわからない・・・。とにかくすごい。左手だけで暗譜なしにドラムンベース的な・・・。わかっていたつもりでしたけど、何かまだ凄さがよくわかっていなかったのかもと思いました。

 

ドラムとベースとギターが存在するいま、ここまで鍛錬してあえて人力でピアノでやる意義というのがまた21世紀ならではの課題ということにもなると思いますが、でも、皆がこぞってやらなくても、圭土さんだけでも、本物スタイルで聴かせてくださることに、貴重なものを感じます。

 

オリジナル曲も演奏してくださいました。個人的にはオリジナル曲のほうが好きなので、うれしかった。

圭土さんをソロで聴いていると、クールで優しいキャラクターが浮かび上がってきます。つねに自分の芸術に集中して、ご自分の道を行くっていう感じで。熱くなるけどそれを人にはぶつけないで自分の中で燃やしているような。レ・フレールで守也さんと連弾のアレンジで聴く圭土さんの曲とは、また少し印象が違います。

 

ブギウギについての理解が深まり、オリジナル曲も聴けて、貴重なライブでした。