山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

斎藤守也年男記念 Moriya48 -サマー・ライブー 9月1日収録配信

夏になるとピアニスト斎藤守也さんのソロライブがあって毎年楽しみにしています。

今年は横須賀のヤンガー・ザン・イエスタデイ(YTY)からの配信ライブ。

 

セットリストは斎藤守也さんのインスタグラムから拝借して書いています。

これからアーカイブ観る方はネタバレになるのでご注意ください。

 

 

 

 

配信ライブ最近すごく多くて、可能な限りチェックしていますが、リアルタイムの時間は晩御飯前後になってしまい、落ち着いて見られないので、ほぼ、アーカイブで観てます。夜中とか朝とか、午後早い時間が多いですね。ということでこちらのアーカイブもやっと全部見られました。

 

熱いセットリストでした。ロックと、あとジャズ風味が、いつになく濃かった。前の週にレ・フレール  は名古屋でジャズフェス出演でしたね。

 

画面に守也さんが現れたら

いきなりOn y va!の新たなアレンジでテンション高く始まり、

もののけ姫をドの音をミュートしてずっと、「ターンタタン」のリズムで刻み、森の中の雰囲気たっぷり。

ルパン3世のテーマは非常にジャジーでした。バラードの「その2」から始まったときは「あれ?FLOW?」と一瞬思った…オリジナルかと思うような自然さ。そこから、おなじみの疾走するテーマ「その1」へ。これはOn y Va! の左手のパターンで伴奏している難しいながらも守也さん曲の大定番アレンジですが、これがしびれるほどリズムが格好よくて。左手だけでスネアが2・4拍目に入っているようにダーン!とピアノが鳴るんですね。

低音のパワーを生かすとまるでドラムセットみたいな音がする。ピアノって。途中即興パートもあってすごいジャズでした。

 

一息ついて、「ピアノの本」に連載されている新曲。「たんぽぽ」がまた非常にスイングしていて私としては好きな感じ。

 

中盤、ぐいぐい攻める曲が続きます。レ・フレールの「サマーナイト」のソロバージョン。山口百恵ちゃんの歌謡曲みたいといつも思う。横須賀のライブハウスで、似合いすぎる。「FLOW」はYTYのスタッフの方が好きな曲なので、YTYではよく演奏されています。しっとりとした情緒とキラキラした音の粒、ビートのうねりに圧倒されます。

そこからOROSHI、いつかの空、と続きます。ライブを聴いているんだけど何か旅でどこかを歩いて景色を眺めているような感覚になってきます。

前半最後は、ノートルダムの鐘。スケールが大きくて迫力あって聴きごたえあり。例えるなら、散歩していたら現れたすごい建物。聴き終わると、ふう、と大きく息を吐きたくなるような。

 

トークコーナー。過去の年男だったときを振り返るお話。24歳の頃にいろいろなバイトをしていらした話が特に面白かった。ピアノを弾くホールスタッフのほかに、お掃除の仕事をしていたそうで。守也さんの曲を弾きこなすには、ゆっくり丁寧に片手ずつ丹念に仕上げていくことが欠かせないのですが、それと、お掃除のバイトというのがなぜかすごく結びついて納得。完璧にきれいに仕上げていそうな・・・・。

 

後半は、「キャトル」収録のギリシャをテーマにした組曲「ムッシュグレコ」をソロバージョンで。これ、最高でした。連弾バージョンでは守也さんが両手を使って連打してマンドリンみたいな音を出していますが、それを右手のトレモロでうまく表現して。もう気分はエーゲ海を見ながらカフェで夕暮れにワインを飲んでる・・・そんな気分のご機嫌なサウンド。

終盤は、怒涛のロックナンバーメドレー「トップギア」「大風車輪」「DDROCK」。録画なので何度でも巻き戻して細かいところとかチェックできちゃうんですけど、どこをどうみじん切りに聴いても、このロックビートは本当に超絶技巧で、ビート感が圧巻。なかなかこれを弾くのは誰にでもできないけどピアノ1台でロックビートってホントに出せるんですね。しかも低音がガーンと響いて共鳴する独特の心地よさ。ああ、生音だったらどうなるんだろうか?

 

〆は爽やかに「一本道」。広がる音の粒がたまりません。

ディズニーメドレー「クラブイクスピアリ」で賑やかに終わりました。

 

聴けば聴くほどYTYの白いヤマハ、いい音で鳴っています。スマホのイヤホンで聞くと最高。

 

アーティストとしてとてもいま脂がのっている時期なんだなと思いました。それなのにお客様入りのライブができないのがほんとに歯がゆい。無観客だから、いつものライブのように「そんなに無茶苦茶に弾きまくったら手を痛めそう」と心配なる場面こそなかっだけど、熱さの中にクールな部分を保ったとても完成度の高い演奏。レコーディングとライブの中間のような部分もあるのかも。

有観客ライブができないのは寂しいけれど、こうして映像に残していくことも、とても意味があると感じています。

 

来月のオーチャードホールでは、有観客の生音で聴きたいです。吉田兄弟さんもゲストに出演するそうだから、楽しみ。