山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

かつしかトリオ 2021年10月21日 ビルボードライブ横浜

かつしかトリオ

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芸人さんみたいなネーミングですが・・・神保彰さんのソロに、向谷実さんと櫻井哲夫さんが参加したトリオ。かつしかシンフォニーホールのコンサートがきっかけで結成されたのが由来のようです。

 

この3人、昔はカシオペアのメンバーで一緒に活動されていました。それぞれメンバーチェンジしてバンドを離れて、この3人では33年ぶりに一緒に演奏なのだそうです。同窓会っていうのはすごいもので、何の違和感もなく自然そのもの。聴く側も自然そのもの。爆

 

最初と最後は、神保さんのワンマンオーケストラの曲、中盤はカシオペア時代の名曲をたくさん演奏してくれました。神保さんのミッドマンハッタン。中盤のドラムソロがくると「おおおおお!」と叫びたくなってしまう…何度聞いても。そしてサニーサイド・フィーリン。向谷さんがエレピで軽快に優しく弾くあのメロディ、淡々と温かく刻むドラム、なんともいえず良い感じで動くベースライン。はい、泣いてました。涙が止まらない。良すぎる曲ばかり・・・

櫻井さんのセイリング・アローンも、出だしだけでもう「うおおおお」とぐっときてしまいますね。向谷さんの「コロナ」。これカッコいいラテンナンバーで本当にライブが盛り上がる。タイトルがウイルスと同じ名前になっちゃったけど格好よさは不変。

・・・と、カシオペア時代のナンバーに夢中になったり涙ぐんだりしていましたが、「バンバンバン」や「上を向いて歩こう」といった、神保さんのワンマンオーケストラらしいカバー曲も演奏していました。これらは、30年以上前のカシオペアの曲のような「うおおおお!」みたいな同窓会的な要素はないですけど、じわじわじわといい感じで聴ける。

 

この3人が演奏しているときのリズムの流れの圧倒的な心地よさ、自然さ、楽しい気持ち、何かワクワクする感じ。圧倒的です。

 同窓会としての満足感は十分にありつつも、新しさ、面白さ、旬な感じも非常にあって、今回は音頭をとっている神保彰さんのこれまでの圧倒的にクリエイティブなご活動がうまく牽引力となっているプロジェクトだと感じました。

 

 「また来年もやります」とおっしゃっていたような・・・。和泉さんが世を去り、安藤さんもスクェアから引退、スクェアのリユニオンというのがこれまでの形ではできなくなって、寂しかったところに、かつしかトリオの3人の音は、ほんとうに、心の隙間というかひび割れていた場所を、ふわっと包み込んでくれて、楽しくて、ワクワクして。しかも、いまなおさらに格好よくて魅力いっぱいのお三方の姿を間近にすると、自分もがんばろうと、ものすごく前向きな気持ちになりました。素敵な時間でした。