山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

吉田兄弟レ・フレール 東京国際フォーラム

東京国際フォーラムCで
津軽三味線の吉田兄弟とレ・フレールのコラボコンサートでした。

 

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2018年にライブで聴いて衝撃で、
ずっと待っていた公演。

吉田兄弟の音は、ひたむきで熱くて、凄まじい。
聴いているだけで、真摯さに打ちのめされるよう。
レ・フレールのピアノが低音でどっしりと支えて、大きく広がって
中音域、高音域は柔らかく三味線を包み込む。
生き生きと躍動する歌い方は全員素晴らしくて
エネルギーが増幅する。
ジャジーな「ソロ回し」の場面はスリリングで、ワクワクしました。

「武士道」の健一さんの三味線を聴いていたら、涙が止まらなくなった。

一音入魂とはこのこと。
私もこんなふうに、ひたむきに表現したい。
全然できてないけど。

そんな吉田兄弟のひたむきに
レ・フレールのお二人のひたむきさが
共鳴して、さらに楽しさや広がりが出て、

聞いたことのないようなサウンドが出現していました。

いまの時代の「和」な美意識とエネルギーを研ぎ澄ませた音。

すごいものを聴いてしまった。

  

健一さんは、三味線だとどうしてもクリスマスみたいな楽しい感じを出せない、みたいなことをおっしゃっていて、なるほどと思いました。

 

逆に、ピアノでは三味線ほどの鬼気迫る間合いや繊細な表現が難しいです。弦を打つのが鍵盤から伝わるハンマーだから、撥で打つのよりは柔らかくなるし、撥の方が繊細にコントロールしてニュアンスのコントロールがしやすい。

レ・フレールの曲には、三味線の激しさ鋭さ繊細さ欲している曲があり、三味線で弾いたのを聴いて、こんな曲だったんだと驚きが。
いっぽう、吉田兄弟の音楽にも、楽しさや柔らかさ、広がりを欲している部分がある。それをピアノが作ることで、三味線だけでは不可能なサウンドができる。

吉田兄弟はドラムやベースを入れた編成でも演奏していて、それも力強くて素敵なんだけど、ドラムとベースの役割がピアノに置き換わると、より繊細で臨機応変で瞬発力のあるアンサンブルができる。


レ・フレールも吉田兄弟も、コラボしなくてもそれぞれ素敵なんですが、
コラボすると、コラボしたときにだけ出現する世界がある。

「武士道」は、哀しくて切なくて、胸が締め付けられる。

「転々」は、美しい、はかなさ。

Stand upは、鋭くて力強くで重すぎないロックビートの質感が、経験したことのない気持ちよさ。

 

何回でもライブで聴きたいです。

 

帰ってからも、三味線の音が、ひたむきに引き続ける健一さんと良一郎さんの姿が、ずっと頭の中でグルグルしていました。

 

 

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