山本美芽のフュージョン・ダイアリー

音楽ライター山本美芽によるジャズとフュージョンについての取材日記です。

グレース・マーヤ 六本木サテンドール@2011年9月2日

ピアノ弾き語りのグレース・マーヤさん。日本人。でもインターナショナルスクールに通ったり、ヨーロッパに留学したりしていて、英語のほうが得意らしい。

2004年に帰国してその後デビューだから私がアメリカにいってから活動開始されてました。経歴を見るとなんとマダムデカーヴに小学生のころからレッスンを受けていたとあり。ピアニスト中井正子先生の留学記をお手伝いしていたときに出てきた名前ですよ、マダムデカーヴって。その後にフライブルグ音大卒業って・・・

これはすごい英才教育を受けているはずだ。クラシックもめちゃくちゃ弾けてうまいはず。なんでジャズを演奏するようになったんだろう。ショパンコンクールは受けなかったのだろうか? とかいろいろ考えつつライブ会場へ。

サテンドールって老舗のジャズのお店なんですね。私はフュージョンの人でしたので、これまで六本木にはずいぶん通ったけれど、このお店は初めて。中に入ったら楽屋がなくて、出演者がはじっこの机に座っているのを見てびっくり。そういう雰囲気なのね。追っかけミーハーなファンがいるミュージシャンとか楽屋がなかったらどうなっちゃうのかと一瞬思ったけれど、開演前の集中を乱そうとうするお客さんもおらず、出演者も本番前にもかかわらずピリピリする様子も見せていない。すごい、なんか大人だわ、みんな。いいかも、こういうの。

マーヤさんがピアノを弾き始める。うおー。指が立ってる。すごく手の形がいい。東京ドームのごとく。腕も指も、おそろしく柔軟で自由。しかも音に芯があってすごく伸びやかできれい。速いパッセージの見事なこと。クラシックみたいな美音なんだけど、ちゃんと1音1音にアタックがかかっていてジャズになっている。なんか不思議。ジャズっぽく演奏しているのだけれど、サンバとかボサノバ、8ビートや16ビートまであって、フュージョン方面から来た私にも非常になじめる曲ばかり。この日はギターの吉田次郎さんも参加していた。何を弾いてもすごいクオリティで、間近で聴けて、それはそれは豪華だった。

マーヤさん、しゃべり声は普通の女の子って雰囲気なのに、歌声は低いほうまで、なんと低いレまで余裕で出していた。すごい。しかも渋くてスモーキー。甘ったるくないのが非常にいい。ピアノが美音で甘い雰囲気なので、歌とあわせて、トータルで渋かわいい雰囲気に。私個人の好みとしては、渋すぎも甘すぎも苦手なので、マーヤさんの渋かわいい、ジャズから微妙にはずれた路線はすごく共感できる。ドラムの則竹さんの追っかけ活動の一環でこの日も聴きに行ったわけなのだけれど、この人のピアノと歌なら、則竹さんにドラムを依頼する必然性があるのは理解できる。

MCも半分ぐらい英語交じりで、ほんとうに英語のほうが得意なんだなと驚き。日本人なのに、外人みたい。とにかく耳と感性が抜群で、インスピレーションがどんどん沸いてきちゃう様子だった。

ネットでいろいろ調べていたらギタリストの荻原亮さんと結婚していて、3年ほど前に出産したんだとか。ママさんには見えないけど、そうだったのね。それでも今は毎週どこかのライブハウスにスケジュールが入っているみたいで、かなり本格的に復帰している模様。アルバムリリースが前回から間が少し開いているのは、産休のためだったのかな。

 彼女の才能と感性はすばらしくて、まだまだ余力というか、磨けばもっと凄くなりそうな感じがした。ただ、とにかく自由であることは彼女にとって根本的に重要であろうと思われるので、自分の音楽を限界までつきつめることが、その自由さと両立できるか? 十分すごい才能だけれど、これからが楽しみ。そして弾き語りのピアノっていいなとしみじみ。

上原ひろみちゃんは尊敬しているし大好きで年中聴いている。だけど彼女の曲をコピーする気力は、いまの私にはない。私にとってああいうテクニカル路線を自分で弾くとしたら、ショパンのエチュードだけでたくさん。でも、この日マーヤさんが演奏してくれた、タニア・マリアの曲(サンバだった)、シンディ・ローパーのタイム・アフター・タイム、It might as well be spring、ロバータ・フラックの Feel like making love などは、メロディと雰囲気を楽しむ曲。自分でもあんなふうに弾き語りできたらなあ、練習してみようかなあ、と真剣に思った。

ベースは安ヶ川大樹さん。

イパネマの娘

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ザ・ルック・オブ・ラヴ

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ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス

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ベスト・オブ・ロバータ・フラック

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It Might As Well Be Swing

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Best of Tania Maria

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…と、タニア・マリアのページをいろいろ見ていたら、10月に来日してブルーノート東京とコットンクラブに出る予定なのですね。

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/111010tania/
弾き語り映像がすんごいお洒落でうっとり〜。