山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

T-スクェア 40周年記念ライブへ

 パシフィコ横浜で行われたスクェアの40周年ライブへ行っf:id:mimeyama:20180812101904j:imageてきました。f:id:mimeyama:20180807113224j:image
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スクェア史上、たぶんこの会場は初めてです。夏にイベントというとたいてい「日比谷の野音」でしたから。しかし暑いし台風の可能性あるし。みんな年とってもう野外はつらいし。パシフィコ横浜は海のそばで涼しく、並んでいても日陰が多く、5000人規模の巨大ホールながら、すごくステージが見やすくて広々としていて、いいホールでした。

 

 過去の主要メンバーとホーンセクションにトランペットの山崎千裕さん、トロンボーンの湯浅佳代子さん、総勢18人という、これまでにも何度もやっている「ナントカ周年イベント」をふりかえっても人数が一番多くなりました。ステージ上にはドラムセットが5台並んでいるんですものね。圧巻です。

 まずは中学生がゲストで出てきてくれて、オーメンズオブラブを演奏してくれて、なんだかそれだけで目頭が熱くなってしまって。一生懸命演奏してくれてすごく上手なんですよ。スクェアの曲好きでいてくれるんだなって。

 それから18人全員が出てきて演奏が始まったのですけど、驚いたのは、音がスッキリしていること。

 このサイズの大きな会場でジャズフェス状態だと、細かいことはよく聞こえなくなってしまうのが普通なのに、1音1音がかなりくっきりと聞こえてきました。演奏する側も当然、音の絞り込みをされているのだろうし、PAのかたもすごい技術があったのだろうけど、奇跡的なレベルで細かく聞こえてきました。

 スクェアの歴史をデビューから80年代、90年代、2000年代、そして現在と時間を追って、当時のメンバーが出てきて演奏していくわけですけど、私はやはり90年代あたりが大ヒットでした。則竹・須藤コンビの時代で、「エル・ミラージュ」でまず盛り上がり。さらに、「クラウン・アンド・ローゼス」では、ブラスセクションが生で入ってまず素晴らしく、途中間奏の短いドラムソロが、オリジナルアルバムとほとんど同じロールの入った展開。これが格好良くて当時ドラムマガジンに載ったドラムの楽譜を見ながら何度も何度も聴き直したんですよ。もうそのころの記憶がいきなりバーンと一瞬にしてよみがえってきて。

 

というか、それまでの曲も「あ、これはいつのライブで聴いた」「大学時代に好きだったあの曲、野音でもいっぱい聞いたし、先月の中野でも聴いたわ」とか、思い出が何重にもフラッシュバックしてきながら「あ、今日はこうこうこのバージョンでこういうふうにやるわけね」的なことがわかって、1曲のあいだにどれだけ頭がぐるぐるすることか。ドラムアンサンブルの「オレカマ」も、なんとか周年のイベントでは定番なのでもう慣れているんですけど、まあ一糸乱れぬ見事なアンサンブルで惚れ惚れするし。そうやってぐるぐるしながら聴いてられるということは、演奏が思い出に水をささない素晴らしいものだからなんです。というか、昔より良く・・・あえて「良く」といいますけど、良くなっていると思います。みなさんもともと神がかっていたのに、明らかに、昔よりもっともっとうまくなっていらっしゃる。だから聴いていて本当に満足感があるんです。大変なことだと思います。

 

宮崎さんの音の抜けがものすごくよくてちょっとびっくりしたなー。須藤満さん、あの大舞台でもいつもと同じように楽しくMC。なんかほっとする。ステージじゅう駆け足で盛り上げてくれて、パフォーマンスを見るのに忙しいんだけれど、グルーブが素晴らしくて。

 

安藤さん伊東さんのソロをもっともっと聞きたかったけど、なにしろ18人もいるので、そういうわけにもいかなかったですね。苦笑 でもやっぱり存在感、さすが。そして現在のメンバーの曲は、スクェアを自分のものに消化しつつ彼らの個性が出ていて、いま充実しているのが、また良いんです。

 

選曲・構成も、懐かしいようでいてあまり最近聴いてない曲が結構入っていて、懐かしくも新鮮なものが多かったです。

 

そして40周年記念となる新しいアルバムがリリースされる!とのこと、そこから2曲演奏されました。坂東さん則竹さんのツインドラム、見た目にも最高に楽しかった。アルバム11月といってた気が。

 

お客さんも3階席の後ろまでびっしり。

ほんとうに完璧な、40年の重みを感じ、さらに未来へ進む感じと、40年支えてきたお客さんとステージの一体感も感じられ、文句のつけどころのない、素晴らしいライブでした。

 

DVD収録もしていたようなので早く観たいですね。

TRIX「Festa」取材へ

TRIX 15thアルバム「Festa」リリースのインタビューへ。
Jazz Japanに執筆します。

 

4人で喋るのは

けっこう難しいんですが


熊谷さんを中心に

それぞれ面白いネタを

出しては広げ、盛り上げる


チームワークが完璧なTRIX。

 

和気あいあいと楽しい雰囲気、

しかもバシバシとツッコミのある

忌憚のなさ

温かさ、ノリのよさ、

炸裂するユニークなアイデア!

 

ずっと4人のお話を聞いていたかったです。

 

 

 

最新アルバム「Festa」発売は8/22、

ツアーは9/14仙台から開始です。

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吉田兄弟×レフレール スペシャルコラボコンサート 市川文化会館

先月の鴻巣に続いて聴いてきました。

どうしてもまた聴きたくて。

名古屋公演あるのでセットリスト見たくない方は見ないでくださいね。

 

 

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前半は、まずレフレール。「サムライ・ファンキー」は16ビートのうねるようなグルーヴに、どんどん転調したり、右手の細かい16分音符が派手でカラフルな世界が暑さを吹き飛ばすかのよう。

「海へ行こう」は、守也さんが弾くメロディが柔らかくて、キラキラ輝く海みたい。きれいでした。

そこからブギウギ即興演奏。

テンポがどんどん上がって行く盛り上がりが楽しかった。そのまま「On y va!」。かなり速かった、、スゴい。最後は「琉球唱歌」。内部奏法がまるで三線みたいで素朴ないい味わいです。これ、アルバムに入ってたかしら?

 

続いて吉田兄弟。私は彼らのライブは2回目でまだよくわかっていませんが、兄・良一郎さんからは内側からじわっとくる芯の強さ、弟・健一さんからはガンガン出してくるアグレッシブや鋭さを感じました。

 

コラボの部、さらに一体感がでて息がぴったりになり、間合いがとても心地よくて。

ロックな力強さ、骨太な感触は、吉田兄弟とレフレールどちらも共通していて全編に流れていて。

 

三味線がメロディ、ピアノが一人で伴奏みたいなシンプルなアンサンブルの場面も結構あり、これが全部の音や演奏者の思いがよく伝わってきてきました。

 

津軽三味線のバシバシ鳴る音でつくるグルーヴ、

音程が「くぃ〜ん」とスライドするニュアンスがいい。

レフレールも音色、リズム、ハーモニーが多彩で、とくに内部奏法は音の立ち上がりが柔らかく、響きに華があり、豊か。三味線の音を包み込んでいました。

 

「冬の桜」

 

「パラレルワールド」

 

「パノラマ」

吉田兄弟の一瞬をとらえる間合いに、レフレールのお二人がバシッとハマっていて、曲が終わると「決まった!」とガッツポーズしたいような感じです。

 

レフレール弟、圭土さんのシャクナンガンピを健一さんとデュオで。しみじみした旋律を三味線で。沖縄の三線のようで、これハマりすぎ。味わい深い。

 

健一さん曲「バルセロナ」、レフレールもスペインぽくするのは大得意ですから、カスタネットみたいな音を内部奏法で出したり、どっちの曲かわからないくらい。

 

レフレール兄 守也さん曲「DD ROCK」。鴻巣よりテンポ落として、ちょうどいいパワフルなグルーヴが出ていました。三味線のバシバシ鳴る音がピアノの音圧と重なって熱かった!

 

本編最後は吉田兄弟の「RISING」。レフレールがドラム、ベース、ギター役をつとめます。こういうのはレフレール得意なんですよね。余白をうまく残しながら鮮やかにまとめていました。

 

アンコールは、レフレールの「Joker」。

和風でカッコいいノリの曲です。これは吉田兄弟がメロディを弾いていて、合わせるのもラクそうで、リラックスして聴けました。

 

レフレールの二人、兄の守也さんと弟の圭土さん、どちらも素晴らしい作曲家で、しかも和風の引き出しがある。この和風路線が、改めて、ものすごくモダンで洗練された雰囲気やパワーがあります。

 

吉田兄弟の楽曲も、三味線二丁だけでもいいのですが、リズムやハーモニーを足すとイメージが広がるので、レフレールが絡む意義は大きく

スラップベースのいわゆるチョッパー奏法的な要素もグイグイ迫ってきます。吉田兄弟のリズムのシャープさは突出していると感じます。

 

レフレールのふたりは若い頃ルクセンブルクに留学、吉田兄弟はいま海外公演が多く。

どちらも世界共通語としてのロックを自分のものにして、

クラシックやブギウギ、津軽三味線という伝統を受け継いで、

さらに世界の中での「和テイスト」の存在感をわかっていて、

客観的に見ながら、エネルギッシュかつエレガントに構築しています。

和の中には、民謡のグルーヴがあって、それを8ビートやシャッフルと融合させて。きっと1曲ずつ細かくみていくと、これはこう、これはこう、と、細かくリズムのニュアンスがあるんでしょうね。

 

もっと聴きたいな。このコラボ。

DVDやアルバムとか作ってくれないかしら。

レ・フレール with N響の仲間たち 初台オペラシティ

レ・フレールと弦楽器の共演を聴いてきました。

 

響きのいいタケミツメモリアルに

ベーゼンのインペリアル

N響の澄んだエネルギーのある弦

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いいだろうなと思ってはいましたが

音の渦が会場に満ちて、弦楽器の音がピアノの余韻と溶け合い、想像以上でした。

 

民族音楽的な響き

クラシカルな響き

和の響き

ロックな響き

レフレールのオリジナル曲では

それらが鮮やかに交錯します。

 

レフレールは曲がいい。

だからどう料理しても楽しい。

バイオリンが旋律を弾いても、

弦楽器がピチカートで伴奏を刻んでも、いい。

 

レフレールは低音の比率が高い。

会場によってピアノの鳴りがものすごく違う。

今日は、かなり鳴っていて、弦楽器の共鳴もあったし、とても豊かでした。

 

この「鳴り」を毎回どうなのかなと味わうのも、追いかける醍醐味。ホール、ピアノ、天気でもかなり違います。

 

弦楽器は平均律のピアノと違い、クリアな純正律。

さらに伸ばしながらクレッシェンドができる。

使い方によって曲の表情が変わります。

 

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あまりレフレールのパートはいじらず

弦楽器を足したような形の前半から

 

後半はチェロとの絡みやコンマスさんのソロもあり

ピアノコンチェルトみたいな響きもあり

つややかで素敵でした。

 

後半の最初、ブギウギ即興楽しかった! どんどんテンポか上がって、どうなるのかハラハラ。

 

オケではなく弦楽器12人だけとのコラボは、リズムがシャープなレフレールの音楽に非常に相性が良かったです。弦とのコラボならではの構築度合いは「狂想曲」「アンパッサージュ〜プレサージュ」が現代音楽のような一面もあり、聴きごたえがありました。

 

「挑戦者」終盤の転調して上行するところ

「狂想曲」の怖いくらいのリズム

「マスカラード」のドラマチックな半音階進行

「桜」の内部奏法の音色が優しく包み込むような感触。

 

頭の中に音が残っています。

 

 

 

 

 

 

 

T-スクェア 中野サンプラザ 2018年 6月23日

今日は中野サンプラザでT-スクェアのライブ。

初めて行った年から、もう28年目。

 


今年のアルバムは素晴らしい出来でした。

ワクワクしてくる音楽性。

ホールで聴いてもやっぱり素晴らしかった。

伊東さんのサックス絶好調。いい音してた。安藤さんのギター、ますます格好よくなってた。

坂東くんの曲「Trade wind」には参った!軽やかなラテンのリズムにのせて爽やかなフルートのメロディがなめらかに動きながらコードがくるくると入れ替わり、

なんて素敵なの!!

坂東くんのドラムはもう脂がのってるとはこのこと。グルーヴ強力、アイデア面白い、手数すさまじい、、、何を叩いても圧巻でした。

 

トロンボーンの湯浅さんが入った音、ものすごく馴染んでました。ダンサシャンブルにはオリジナルにも入ってたんだった。これからスクェアファミリーでいろいろな時に来て欲しい。

トワイライトインアッパーウエスト

何度聴いてもいい。伊東さんのサックスの歌い方や音色堪能しました。f:id:mimeyama:20180623195750j:image

 

レフレールと吉田兄弟のコラボコンサート クレアこうのす

ピアノ連弾レフレールと三味線の吉田兄弟のコラボ。
他にはまずない珍しい編成のコンサート。

パワフルかつ、幽玄な世界を作り出していました。

 

前半はそれぞれの単独演奏で

レフレール、何度も聴いた曲だけど

すごく良かった。

いきなりBoogie Back to Yokosuka の出だしの

音色があまりに優しく語りかけるよう。

ハッピーソングのピアニッシモの音色があまりにも美しくてため息が出ました。

 

吉田兄弟のステージは、

緊張感とリズムが最高!!!

あのバシバシいうバチの音色がたまりません。

 

レフレールは、もともと和風な曲やロックな曲があり、吉田兄弟の音楽性と非常に相性が良く。

 

吉田兄弟は、和楽器の音程を平均律のピアノに合わせるには、おそらく通常とは違う音程のとりかたをしなきゃいけないのに、涼しい顔でやってのける。

 

レフレールは、もともと西洋音楽の楽器である

ピアノを、さまざな工夫やアイデアで

和楽器に溶け込む音色やアレンジが出てくる

懐の深さがあります。

 

ピアノの内部奏法と三味線の音色が素晴らしく相性が良かったです。 三味線を大きく包み込むようでした。

 

津軽三味線のブルージーともいうべき哀愁ときっぱりとした辛口の味わい、

 

緊張感あふれるリズム。

 

一瞬の間合い。

 

音が消えるまでの余韻。

 

 


ピアノからあんなエスニック風味?出せるなんて。
しかもロックなノリがピアノと三味線で通じ合っているのか伝わっ てきて。

レフレールの持っている幽玄な和風の美しい部分がすごくわかりやすくクローズアップされていて。

 

素晴らしい楽曲と演奏、鴻巣まで
追いかけて大正解。

 

 

 

レフレールの曲だと

シャクナンガンピ

パラレルワールド

joker 

あたりが三味線コラボと特にハマっていて

本当に聴けて良かった。

 

素敵でした。

 

7月には市川でも

9月には名古屋でもあるそうです。

おススメします。