先日亡くなったピアニストの和泉宏隆さんとは、スクェア退団直前から退団後の時期に、インタビューを何度もさせていただき、独立されてからは月刊ショパンで私が編集担当でコラムを連載していただいた時期がしばらくありました。
ちょうど、和泉さんにとっては、キャリアの転換点だったと思います。
まだスクェア退団前の頃に何度かインタビューに伺い、私がピアノ弾きだとわかると、和泉さんは、シンセサイザーと生ピアノの葛藤について沢山お話をされました。生ピアノは倍音が出る。そこが美しいものに徹底的にこだわる和泉さんがどうしても譲れなかったもののひとつだと理解しています。
当時スクェアのツアーではシンセを沢山演奏していたので、そこまでピアノへの思いが強いことに驚いたけれど、気持ちはよくわかり、どんな音を探求しているのかすごく興味が湧いたのを覚えています。
いうまでもなく和泉さんがスクェアで成し遂げたお仕事はすごいものでした。歴史に残る名曲の数々。神がかった演奏。素晴らしいアレンジの数々。ライブでの演奏。そしてお茶目なMC。
そのころ和泉さんはピアノソロのアルバムをリリースされたり、スクェアのアルバムにソロピアノで「テラ・ディ・ヴェルデ」が入ったり、カザルスホールでソロのリサイタル? ライブ?をなさったり。ピアノにどんどん寄っていく時期でした。学生時代からバンドやアレンジや作曲のお仕事がどんどん入ってきて、ピアノに専念したいと思いながら、ものすごく練習はされていたけれど、ご自身ではピアノに関して納得いかないまま40代が迫ってきて、スクェアを退団してピアノに専念するという決断に至ったのですね。
間近で一緒にお仕事しながら、ミュージシャンが神じゃなくて人間であることもわかって、でも私には想像もつかないような世界にいて日々ギリギリのところで探求を続けて、小さな結晶を少しずつ育てるように音を出していることを肌でわかるようになった。倍音を含んだ和泉さんの音を聴かせてもらって、なるほどこの音を追求しているんだって、わかるようになった。鍵盤から不思議なけむりが出るようなあの音。
どれだけの宝物を分けていただいたのか、今更ながら、噛みしめています。
和泉さんに教えていただいたことは沢山ありすぎて。少しずつ書いていきたいと思います。
最近まで録音していたソロピアノのアルバムでの演奏は、スクェアを退団したばかりの和泉さんが思い描いていた理想には到達していたのではないかと・・・私は思うのです。
ものすごく自分に厳しくて理想が高かった和泉さんなので、そのあたりはどうだったのか・・・わからないですけれども。
改めて、楽譜を弾いてみると、
和泉さんは手が大きいんだなぁと思います。
10度とかも結構出てくるし
アルペジオの広げ具合が私にはきつい。
楽譜から。作曲家が好きだった音楽とか
大切にしていたものとか、一生懸命歌っていたものとか、
手の大きさとか、歌うときの呼吸の長さとか
いろんなことがわかります。
Alone(和泉宏隆)
— 山本美芽 (音楽ライター) (@mimeyama) 2021年5月11日
サビです
ここは、、、
またしてもきれいすぎて、、泣
和泉さん、、
ミシェル・ルグランとか好きっておっしゃっていたのを思い出しました
今頃、ピンときました。 pic.twitter.com/nRyXzYezPe