山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

動画配信される音楽が支えになる


OUCHI DE JIMBO #2


斎藤守也(from レ・フレール) 5月20日リリース ソロ・ピアノ・アルバム『STORIES』introduction

 

 

 


Welcome to Our Living Room #40

ピアニスト小曽根真さんのライブ配信は昨夜で、40日目。

1日だけ息子の勉強をみるのでパスしましたが

それ以外はほぼリアルタイムで聴いています。

 

小曽根さんだけで40時間聴いたことになる。

スマホを通して聴いた小曽根さんの音で

緊急事態宣言に至るまで不安ではりつめていた何かが

いつのまにか深呼吸してリラックス。

毎日、聴けば聴くほど、いつもの自分になっていきました。

 

スイングのリズムに心がほぐされる。

バラードのピアニッシモに何かが溶けていくような感覚。

ラテンのリズムに思わず体が動いている。

ハーモニーのうつろいに、いまスマホのイヤホンで自宅で聴いていることさえも忘れてしまう。

 

奥様の女優、神野三鈴さんとのほのぼのとしたご夫婦の会話に、

猫ちゃんたちが自由に絡んできて、

猫ちゃんを見る小曽根さんのまなざしが、また優しい。

アットホームなリラックスした表情での演奏。

サロンコンサートを5000人だったり8000人で観ているという不思議な、かけがえのない経験。

 

自粛生活そのものにも慣れてきて、

まあ、仕方ないよねと淡々と毎日を過ごせる感じになっていって、小曽根さんが

夜9時になると当たり前のように毎晩ピアノを弾いて下さる。

どんどん普通に呼吸ができる。普通に眠れるようになっていきました。

それほどダメージ受けていたつもりもなかったけれど

やっぱり、小曽根さんの配信が始まってからは、身体が楽になりました。

 

ドラマーの神保彰さんも、連日発信をしてくださっています。

 

ワンマンオーケストラで日々新たなプログラミングを作り、今日はこれができましたと、その日の成果を動画にして発信してくださる。

コツコツと毎日つくっていくその様子をリアルタイムで感じられます。

神保さんってこういうふうに創作活動をしているのだなと。

先日はライブ配信のコンサートがあり、音がモノラルだったことが判明、

そのあとステレオにすべく試行錯誤していらっしゃいます。

何か新しいことをはじめると問題が起きるのは当然のことで

それをひとつひとつ解決したり、解決に時間がかかったりしながらも

だんだん軌道にのせていく感じがこれまたリアルタイムに見られるわけです。

神保さんのビートを浴びているだけでも気持ちがぎゅっと上向きになりますし

こうした、予期せぬ出来事に対応していく姿も素敵です。

 

 

ゴールデンウィークには、ピアニストの斎藤守也さんが

インスタのストーリーズを毎日配信してくださいました。

24時間で消えてしまう1-2分の動画。

On y va! の音を聴いたときよくわからないけど

涙が止まらなくて、

スマホ越しなのに、いったい何なのだろうと不思議になりました。

ライブアーティストってこういうことなのでしょう。

もちろん「うまい」のだけど、

それ以上に、音でエネルギーを伝える力がある。

 

守也さんは連休が終わってからもストーリーズで演奏をまめにあげてくださっていて

観た日は、いいことがあった気分になります。

昨日のストーリーズは、ベット・ミドラーの 「ザ・ローズ」を演奏されたあとに

日本語の歌詞が丁寧に動画にしてあって

正直、読んでいてほろ苦かった。

 もはや立派な大人の年齢になったのに、
いつになってもうまくいかないな、だめだな自分…
そんな部分に語りかけてくる歌詞でした。
 
動画の表現。
 
アーティストのみなさんの創造性、芸術性に
触れられる素晴らしい時間が
 
休みなくご飯を作り子どもたちの面倒をみながら仕事も続けて家にこもる日々、
 
時々、イラっとして爆発しそうになってしまう私を正気に戻してくれる。
 
これらの音楽があるから、持ちこたえていられる実感があります。
 
アーティストの皆様には、どれだけ感謝しても、しきれない。
 
いただいたエネルギーで、家族に笑顔で美味しいご飯を作る、仕事を通じて読者にポジティブなエネルギーを送るのは、できるかもしれません。
 
音楽は贅沢品ではなくて、生きていくために必要なもの。
色々なことが起こって頑張って、すり減った心への栄養。
それをこれほどまでに実感したことはない、そんな日々です。
 
 そんなこんなしているうちに、緊急事態宣言も解除の話が出て、
出口が見えてきました。
 
桜の季節も終わって、我が家のバラが満開です。
 
 
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