山本美芽の音楽ライター日誌

アーティストの取材執筆記録です。

レ・フレール スペシャルコンサート オーチャードホール 2021年9月

久しぶりにレ・フレールのコンサートへ。

以前は最低でも月に1回ぐらい、多い時は月に2・3回は行っていたのですが

5月の鎌倉で聴いてから、フルサイズのコンサートは久しぶり。7月の立川はフェスなので短かったですしね。

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まずは守也さん、圭土さん、ご兄弟がマスクなしで登場。おそらくコロナになってから初、ふたりそろってマスクなしのステージ連弾。

 

マスクしてないだけで何かやっぱりうれしい。表情が見えるし自然だし。

 

「オーシャン」「ウーシーブギ」と、初期のナンバーから開始。どうやら結成19年なのでヒストリーっぽく全アルバムから拾う形のセットリストなんですかね。

「ザ・ギャンブラー」「悪魔のしっぽ」「クロス第2番」「狂想曲」

ライブでわりと最近よく聴いている曲が多いかな。すごく安定感がある。

「ザ・ギャンブラー」はスイングなノリとか即興っぽいやりとり、「悪魔のしっぽ」はロックな独特のリズムのノリ、「クロス第2番」はクラシカルな澄んだ柔らかい響きづくり、「狂想曲」はかなり混みいったリズムで狂った想いを切迫感を持って・・・どれもキャラクターがくっきりと描かれていました。

 

ここで吉田兄弟が登場。9月末に発売するコラボアルバムで共演しているので本日はゲストとして3曲コラボを披露でした。

吉田兄弟。登場するだけで、ゆったりと隙のない歩き方が本当に絵になる。三味線の調弦がはじまるとビーンと空気が張り詰めていく。間合いが鋭い。

まずは吉田兄弟のオリジナルで、「RISING」。ロックなナンバーなので、レ・フレールだと守也さんの得意な感じ。バンドサウンドをピアノならではの低音やハーモニーで作るようなアプローチです。

続いて新作から、圭土さんの「BUSHIDO」。悲しくも美しい雰囲気のヒロイックな曲調。まるで戦国時代を舞台にした時代劇で落城を目の前にした殿と家臣たちみたいなイメージが浮かんできます。なんで?と思いたくなる理不尽なことにも耐えて前に進む辛さみたいなものを美しく表現していると感じました。三味線の間合い、繊細な余韻、力強さが、ピアノと融合して華麗な世界を構築していました。

コラボ3曲目は「JOKER」。これはレ・フレールの定番曲ですけど、MCでお話があったとおり、もともと三味線の曲だったんじゃないか?というぐらいハマっていました。フレーズや音感がとても三味線っぽい。何かやはり通じ合うものがこの二組の兄弟にはあったのではないかと思ってしまう。

3曲ではとても聴き足りないですが、吉田兄弟の華麗でパワフルな面、そして吉田兄弟とコラボするときに見えるレ・フレールのふだん見えない一面など、いろいろな面で楽しめました。しかし吉田兄弟の弟、健一さん、お話がうまいわ・・・。

 

ここからソロコーナー。守也さんは「イーグル」のソロバージョン。ミミレミのパターン・・・? あ、これはCHASEのパターン?「山の音楽家」の終盤パターンもあったな・・・ミを連打していく、大自然を思わせる深みのある響きがホールの雰囲気に合っていて見事でした。今日はホールのベーゼンドルファーなのかな、、だから内部奏法を使っていないのかも。

 

圭土さんソロは「桜」。何度聞いてもいい曲です。美しくてしっとりとした響き。

 

終盤は盛り上がりコーナー。フォー・キッズ、ディズニーランド・メドレー、ブギウギ即興、オニヴァと怒涛のように。手がスクリーンに映し出されていたのがとてもよかった。ポジションも頻繁に入れ替わるお二人ですので、いまメロディを弾いているのは守也さん、圭土さんと、すぐわかるので、それを見ながら「そっか、このフレーズは守也さん・・・ここはあんがい、さらっと歌うんだな」「このフレーズは圭土さんね・・・うわ、めちゃくちゃ指動いてるわ」等々の楽しみがあります。このあたりも最近たくさんライブでやっていたので、すごく弾き込まれていて迫力満点です。

 

ラストは「賛歌 四海兄弟 One Heart FOur Voices 」から「出発の時」へ。力強くてキラキラした音がホールに満ちていく様子はレ・フレールのライブならではでした。

 

アンコールは「ドス・カバッジョス」「Boogie Back to YOKOSUKA」スリル満点で熱い演奏でした。2時間たっぷり聞けて、大満足でした。

 

アーティストはみんなそうですが、誰かとコラボすると一皮むけたというか、ちょっと違った雰囲気になっていきます。それから、ツアーで何十本とか演奏すると、ツアー前とはまた違った音になります。特に変わろうとしていなくても、自然とそういう変化が起きていく、その様子は見守っていると興味深いものです。

 

レ・フレールは、オリジナル・アルバムを数年にいちど出すので、私が昔から聴いている、、たとえばスクェアとかTRIXとかディメンションといったフュージョン系のバンドが毎年のようにアルバムをリリースしているのに比べると、アルバムの枚数は少ないと感じます。フュージョン系が「多い」のかも、、

 

ただ、毎年アルバムを出していると、曲の量が多くなるので、アルバムは出したけど全然演奏していない曲というのが出てきます。レ・フレールはそれがあまりなく、発表した曲がどれもしっかりとレパートリーとしてライブで演奏されている、これがとてもいいなといつも感じています。

 

デビュー当初から弾き続けてきた曲がいまも非常に説得力を持って、アレンジを変えているわけではないのに、新鮮に聴ける。これはオリジナル曲としてすごいことだと思います。

 

あまり時代や流行に関係ないスタイルの強みかもしれませんが、オリジナル曲でこれを達成するのは並大抵のことではないでしょう。時間のふるいにかけられると本物が残ります。

 

早くコラボアルバム聴きたいです。

 

 

 

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